2006年 09月 30日
ルドフスキーの名著「建築家なしの建築」は、世界中の風土的建築を紹介しています。 序文で 本書<建築家なしの建築>は、これまで建築史の正系から外れていた建築の未知の世界を紹介することによって、建築芸術についでの私たちの狭い概念を打ち破ることを目指している。これらの建築物はあまりにも知られていないので、適当な呼び名すらない。 包括的に言いあらわす用語がないので、私たちはそれらの建築を各々の状況に応じて、 風土的〔venacular〕、無名の〔anonymous〕、自然発生的〔spontenous〕、 土着的〔indigenous}、田園的〔rural〕などと言いあらわすことになる。 数年前ブロック塀調査の際、気になる建物を見かけました。 昨日、その建物の近くに行く事があり、思い切って訪ねてみました。 目的の建物も当時見たままでした。(鉄筋コンクリート造2階建の倉庫・・・・・?) 早速、所有者Iさんに話を聞き・・・・・・・、驚きました!! 昭和30年(1955年)、Iさんはそれまで在った江戸時代からの古い蔵を壊し、 自力で鉄筋コンクリート造の新しい蔵を作る計画をたてました。 建築には素人のIさんは当初、円形平面の蔵を考えていました。 ところが、近くに円柱状の汚水処理施設ができ、平面を小判型に計画変更しました。 屋根は中央をかまぼこ型、両サイドを陸屋根にしました。 また、当時サラリーマンだったIさんは給料ごとにまとめてセメントを購入したそうです。 もちろん、鉄筋は9㎜を組み、型枠を組み、コンクリートは現場手練で打ち込み、 すべて自力で工事を行いました。 正面から見ると全体の形がシンメトリーな建物ですが、2階の窓は意識して左右違う大きさにしたようです。また、コンクリートの窓枠が建物のアクセントになっています。 内部は全てコンクリート打ち放しのまま、電気設備等はありません。 2階の小さな窓から光が入り、古くて新しい空間・・・・・不思議な空間体験でした。 ルドフスキーの分類だと「無名の〔anonymous〕」という言いあらわしになりますが、 この建物から、新鮮な、不思議な、感動を得る事が出来ました。 階段を上がり、2階アール部分
by core1808
| 2006-09-30 04:57
| 建築
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